全員が成長できる算数・数学

算数・数学

 今,タイトルを見て,

「全員が成長できるって無理だ!」

「かけ算ができない子がいるのに,わり算教えて理解できるわけないじゃん!」

「全員を理解できるようにするなんてできない!」

 と思った人がいると思います。

 私もそう思っていました。

 

 でも,「もしかしたら少しは近づけるのではないか。」と言える1つの考え方を学びました。

インクルーシブ教育

 「インクルーシブ教育」という言葉を聞いたことがありますか?

 文部科学省のHPには次のように示されています。

『障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきである。その場合には、それぞれの子どもが、授業内容が分かり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしつつ、生きる力を身に付けていけるかどうか、これが最も本質的な視点であり、そのための環境整備が必要である。』

 つまり,障害のある子どもない子どもも,みんなが授業内容が分かり,学習活動に参加できるようにすることです。

 「……余計に無理だ!」

たし算ができない子にかけ算を教える

 説明を聞いて,余計に難しく感じた人もいると思います。

 私もです!

 その気持ちを解消する1つの考え方を紹介します。

「児童,生徒の達成するべきゴールはそれぞれでいい」

 ということです。

 どういうことか説明します。

 

 「2×3」をどう教えますか?

 当然,「2が3つあるから,2+2+2で6ですね」というような教え方をすると思います。

 これは,たし算ができるからかけ算ができるんです。

 つまり,たし算ができないとかけ算はできないということになります。

 算数・数学を教えていて,往々にしてこういう壁にぶち当たるはずです。

 

 でもこういう経験もあるはずです。

 「1年生のときにできなかったことが,2年生になって,いきなりできようになった!」

 学習した内容をいったん置いといて,時間が経った後にもう一度取り組んだらできるようになっている。

「そのとき理解できなかったことが,成長するにつれ,頭の中で整理されてできるようになった。」

 と考えることもできます。

 

 でも別の考え方で,

「次の課題や難しい課題に取り組もうとすることで,今までやった学習内容が必要になり,必要に迫られてできるようになる」

 という考え方です。

 

 何が言いたいのかというと,

「たし算ができない児童にかけ算を教えても無駄」

 ではなく,

「かけ算を通して,たし算ができるようになればいい」

 ということです。

 これならば,だれもが授業に参加できる環境をつくれます。

 特に障害をもつ子どもたちには,そういう考え方をもって接するのがいいのではないでしょうか。

誰もできない課題を用意する

 「2×3」なんて塾でやっていて,授業で学ぶことなんてない子がいるかもしれません。

 いや,そんな子ばかりですね泣

 「ぜんぜんできない子」と「塾で予習して理解しまくっている子」が大半で,なんで授業をしているのか分からなくなりますね。

 そんなときは,「誰もできない課題を用意する」といいです。

 例えば,小学5年生の「体積」で「次の図形の体積は668㎤です。▢に入る数を答えなさい。」

という問題を出したとします。 

 この問題を解くには,

 ・図形から直方体を見いだす力

 ・直方体の体積の求め方

 ・体積から逆算して辺の長さを求める方法

 などの力が必要になってきますが,最後まで解けなくても大丈夫です。

 今まで直方体の体積の求め方(たて×横×高さ)がいまいちだった子が,この問題を通してこの求め方を使えていたら,それで「成長」です。

 または,平面図形が苦手だった子が立体図形の中から平面図形を見いだしていたら,それも「成長」です。

 そう考えたら,子どものペースを崩さず成長を見守っていけそうですよね。

まとめ

 大人の世界でもそれはあると思います。

 今まで学習指導要領の内容をあまり理解できなかったけれど,学習指導案を書くことになったから,学習指導要領が理解できるようになってきた。

 とか。

 大事なのは,

  ・児童,生徒がどれくらい学習内容を理解しているか。

  ・学習課題をどのレベルに設定するか。

  ・どのように児童,生徒の成長を見取っていくか。

 なのかもしれませんね。

 

 でも,私はそれが一番悩ましいです。

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